はじめに
「ヒューリスティクス」とは?
一言で言うと「問題解決のための、発見的手法」です。
「発見的手法」は「必ずしも正解を得られる訳ではないが、
ある程度の正解に近い解を、より早く得ることができる」というものです。
ヒューリスティクスに関する実験について
次に、私が以前に行なった、ヒューリスティクスに関係する
実験について説明します。
この実験では、自然言語処理(人間が使う言語をコンピュータで解析する処理)
における問題の一つ「照応解析」(後述します)を解決する方法を、
人間が発見し、その方法を仮説として使用して問題解決を試行し、
結果を検証し、ヒューリスティクス(=解決方法)を獲得する」ということを行ないました。
「照応解析」とは
前記の実験での問題「照応解析」について、以下の文章を例として説明します。
[文章例 ここから]:
{文1}:「昨日 兄が 自動車を 買った」
{文2}:「今日 彼は それに 乗った」
[文章例 ここまで]:
例えば、文2の中の代名詞「彼」は、
文章内のどの語を指しているか(→文1の「兄」)、
どの語とどの語が同じものを指しているか
(文2の「それ」→文1の「自動車」)、を特定する処理が「照応解析」です。
人手によるヒューリスティクスの検討と蓄積の例
前記の文章例で、文2の「彼」は文章中の何に対応する(同じ人を指す)かを、
どのような考えに基づいて特定するか、を、人手により検討します。
その結果、例えば、
「「彼」のある文の直前の文の中で、一番最初の名詞(代名詞含む)が対応する」
というルールを考え出したとします。
そのようなルールを「ヒューリスティクス」として蓄積します。
次に、実際の文章に対して、蓄積したヒューリスティクスを適用し、
正解率の計測を行うなどにより、ヒューリスティクスを評価します。
なお、前記の実験については、私が以前に行なったものを説明したのですが、
ヒューリスティックスの蓄積や適用に関する手続きは、
いろいろなバリエーションが考えられると思います。
おわりに
「ヒューリスティクス」は奥が深いと、改めて思いました。
もし機会があれば、心理学におけるこの言葉の使われ方なども、学習してみたいと思います。
ではまた。
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